はじめに
このページでは、高校数学で扱う三次関数のグラフの書き方を1から分かりやすく解説していきます。
三次関数のグラフを書くためには、グラフの極大値や極小値、変曲点といった箇所がどこにあるのかを調べ、それらを表にまとめた増減表を書くことによって求めます。
グラフの極値・変曲点の求め方や増減表の書き方を、図を交えながら丁寧に解説していきますので、頑張っていきましょう。
目次
三次関数の3タイプ
まず、三次関数のグラフが実際にどのような形をしているかを見ていきましょう。
三次函数のグラフは上のグラフのような3種類に分類することができます。
A. 傾きが0となる点が2箇所ある
B. 傾きが0となる点が1箇所のみ
C. 傾きが0となる箇所が存在しない
極大値・極小値について
先ほどの3つのグラフのうち、Aのような傾きが0となる点が2箇所ある場合、その2箇所が極値をとります。(その周辺で値が最大または最小となる)
その周辺で値が最大となる場合、その値を極大値
その周辺で値が最小となる場合、その値を極小値
と呼びます。
また図中の青い点のように、グラフの曲がり具合が変わる点を変曲点と呼びます。
A. 傾きが0となる点が2箇所ある → 極大値・極小値を持つ
B. 傾きが0となる点が1箇所のみ → 極値を持たない(傾きが0でもその点は極値ではない)
C. 傾きが0となる箇所が存在しない → 極値を持たない
極大値や極小値、変曲点の位置を求めることで、三次関数のグラフが書けるようになります。
グラフの曲がり具合が変わる点を:変曲点
極大値・極小値を求める
早速、極大値・極小値を求めていきましょう。
極大値・極小値を求めるために、グラフの傾きが0となる点を探します。
関数を微分すると、微分後の関数は元の関数のグラフの傾きを表します。
例として、
y = x3 - 3x2 - 9x + 2
のグラフの極大値・極小値を求めてみましょう。
微分してグラフの傾きを表す関数を求める
y = x3 - 3x2 - 9x + 2
グラフの傾きを求めるために微分
y' = 3x2 - 6x - 9
傾きが0となる時の座標を求める
次に、先ほど求めたグラフの傾きを表す関数 = 0 として、傾きが0となる時の座標を求めます。
3x2 - 6x - 9 = 0
3 ( x2 - 2x - 3 ) = 0
3 ( x - 3 ) ( x + 1 ) = 0
よって、傾きが0となる時のx座標は -1, 3 となります。
y座標も求めると、元の関数 y = x3 - 3x2 - 9x + 2 に x = -1, x = 3 をそれぞれ代入して、
( -1, 7 ) , ( 3, 25 ) を通ることがわかります。
今回はy' = 0の解を求めた時に解が2つ出てきたので、上の方に出てきたグラフのパターンA(傾きが0となる箇所が2つあり、極大値・極小値を持つ)に当てはまりますね。
y' = 0 の式変形の結果が、 ( x - a )2 = 0 のような重解の形となる場合はパターンB、
y' = 0 の式変形の結果が、解なし(二次関数の解の公式でルートの中がマイナスとなるような場合)になる場合はパターンCとなります。
その解の個数によって3パターンに分類することができる
増減表を書く
次に、今までの計算結果を表にまとめた増減表を書いていきます。
まず、わかっている情報で表を作ります。
表は上から順番に
x, y', y
とします。
x = -1, x = 3
の時に極値を持つことがわかったので、この2つの値を表に記します。
すると下のような表が出来上がります。
x | ... | -1 | ... | 3 | ... |
---|---|---|---|---|---|
y' | 0 | 0 | |||
y | 7 | -25 |
追加情報を書き足す
x = -1, x = 3 の時にどの点を通るかはわかりましたが、それ以外の時はどうなっているでしょうか。
仮に
x = -2
の時を調べてみましょう。
この時のグラフの傾きは、y'の式に代入すると15となります。この時のy'の符号が重要となります。
x = -2
の時、y'の符号が正であるためこの区間ではグラフの傾きが正 = グラフが右上がりであることがわかります。
これも増減表に書き記します。
y'の符号が負の場合にはグラフの傾きが負 = グラフが右下がりとなります。
x | ... | -1 | ... | 3 | ... |
---|---|---|---|---|---|
y' | + | 0 | 0 | ||
y | ↗️ | 7 | -25 |
同様にして、その区間で適当な1点を調べてその時の符号を調べ、増減表を完成させましょう。
x | ... | -1 | ... | 3 | ... |
---|---|---|---|---|---|
y' | + | 0 | - | 0 | + |
y | ↗️ | 7 | ↘️ | -25 | ↗️ |
グラフの傾きy'が負:右下がりのグラフ
実際にグラフを書いてみる
先ほど書いた増減表を元に、いよいよグラフを書いていきます。
まずグラフがどの点を通るかをプロットしましょう。
増減表から、
( -1, 7 ) , ( 3, 25 )
を通ることがわかっているので、それらをプロットします。
x < -1
の区間で右上がり、
-1 < x < 3
の区間で右下がり、
3 < x
の区間で右上がりなので、
その情報を元に、この2点を滑らかに繋ぎます。
上手く書けましたか?
y' が重解を持つパターン
もう1つの例として、微分後の関数 y' が重解を持つ場合のグラフについてもみていきましょう。
y = x3 - 3x2 + 3x + 1
この関数のグラフを書いていきたいと思います。
まず、この関数を微分してみます。
y' = 3x2 - 6x + 3
微分の後、因数分解すると、
y' = 3 ( x2 - 2x + 1 )
y' = 3 ( x - 1 )2
このようにまとめることができますね。
傾きが 0 、すなわち y' = 0 となる時の x の値は
x = 1 (重解)となります。
因数分解ができたら、次にその情報をもとに増減表を作成しましょう。
x = 1 の時、元の関数に x = 1 を代入すると、
y = 2 。
すなわち、元の関数は ( 1, 2 ) を通ることがわかります。
x | ... | 1 | ... |
---|---|---|---|
y' | 0 | ||
y | 2 |
最後にx = 1 の両側で関数の傾きがどうなっているかを調べます。
例えば、x = 0 の地点では、y'(0) = 3 (正の値)
x = 2 の地点では、y'(2) = 3 (正の値)となります。
x = 1 の両側では y' の値は常に正。
つまり、その区間ではグラフは常に右上がりとなります。
この情報を増減表に書き足しましょう。
x | ... | 1 | ... |
---|---|---|---|
y' | + | 0 | + |
y | ↗️ | 2 | ↗️ |
増減表の情報を元に、いよいよグラフを書いていきます。
( 1, 2 ) を通り、その両端では常に右上がりのグラフとなります。
その点を通るように、滑らかに曲線を描きましょう。
今回は y' = 0 となる点が1箇所のみで、その両端の傾きの符号が同じなので、
その点で一瞬傾きが 0 となりますね。
上手く書けましたか?
これで三次関数のグラフの書き方はマスターできましたね。